top of page

農地転用の許可基準とは?制度のしくみと注意点を解説

  • イット建築研究所合同会社
  • 7月23日
  • 読了時間: 14分

ree


▶︎1. 農地転用の許可基準とは?知っておきたい基本とその目的


ree

1.1 農地転用の許可基準とは?制度の仕組みと基本ルール

「農地転用の許可基準」とは、農地を住宅や店舗、工場などの用途に変える際に、その転用が可能かどうかを判断するためのルールです。 

この基準は、農地法という法律に基づいて定められており、全国一律で適用されます。


農地は、私たちの食料生産を支える大切な資源。そのため、無秩序な開発や乱用を防ぐために、厳格な基準が設けられているんです。

具体的には、転用を希望する土地の立地や申請者の計画内容、周辺環境への影響など、さまざまな要素をもとに審査が行われます。 


「どのような場所に、誰が、どんな目的で転用するか」が審査のカギになります。

農地転用を考える人にとって、この基準を正しく理解しておくことはとても大事です。 

少しでも準備が甘いと、不許可になることもあります。


転用の内容が小規模でも、「農地である限りは原則として許可が必要」という点を見落としがちなので注意しましょう。


1.2 なぜ許可基準があるの?その背景と目的をわかりやすく解説

農地転用に許可基準が設けられている背景には、主に次のような目的があります。


  • 農地を守ることによって、将来の食料生産を確保する

  • 無計画な開発を防ぎ、環境や景観を保つ

  • 災害リスクや周辺への悪影響を未然に防ぐ


たとえば、周辺に水路がある農地で無許可の転用が行われると、水利に影響を与えたり、排水が滞ることで近隣に被害が出るおそれがあります。 

また、地盤が弱い場所では、住宅や施設を建てることで地盤沈下や浸水リスクが高まることも。


こうしたトラブルを防ぐために、あらかじめ農地転用の可否をしっかり審査する仕組みが整っているのです。

さらに、自治体の土地利用計画に合致しているかも重要なポイント。 


計画的なまちづくりの一環として、農地転用の可否が判断されるため、自己判断での工事着手はトラブルの元になります。

このように、農地転用の許可基準は「ただの手続き」ではなく、社会的な意義や安全性に根ざした大切な制度なんです。



▶︎2. 農地転用の許可基準①:立地基準


ree

2.1 農地の種類ごとの立地区分(農用地区域・第1種〜第3種農地)

農地転用の許可基準の中でも、まず最初に確認されるのが「立地基準」です。 

これは、その農地がどの区分に属しているかによって、転用の可否が大きく変わる仕組みです。


主に以下の4つに分類されます。


  • 農用地区域内農地(最も保護対象。原則転用不可)

  • 第1種農地(公共的・農業的価値が高く、原則転用不可)

  • 第2種農地(やや制限あり。条件次第で転用可)

  • 第3種農地(市街化の可能性が高く、転用しやすい)


このように、農地には等級があるようなイメージで、どの農地かによって対応がまったく変わります。 特に「農用地区域」や「第1種農地」に該当する場合、許可を取るハードルが非常に高くなります。


農地の種類は、各市町村の農業委員会や農業振興地域整備計画などで確認できます。 

転用を検討する際は、まずこの区分をしっかり把握することが第一歩です。


2.2 各区分での転用可否と判断基準

それぞれの農地区分によって、転用できるかどうかの可否と審査基準が大きく異なります。 


以下に主な判断基準を簡単に整理します。

区分

原則の扱い

転用可能条件

農用地区域内農地

原則不可

除外申請後に判断される(厳格)

第1種農地

原則不可

公共事業などに限られる場合が多い

第2種農地

条件付き可

周辺の状況や農業継続の可能性による

第3種農地

転用しやすい

市街化の整備が進んでいればほぼ可能


このように、「第3種農地」に該当すれば比較的スムーズに進められる一方で、「第1種農地」や「農用地区域」では厳しい審査が待っています。

特に気をつけたいのが「自分の農地が転用できると思い込んでいた」というケースです。 

事前の確認を怠ると、準備や設計に時間をかけた後で申請自体が通らないというリスクもあります。


転用の可否は、単に「市街地に近いか」だけでなく、「現状の土地利用」「周辺環境」「農業への影響」など、多面的に判断されます。


2.3 農用地区域の除外申請とは?注意点と手続きの流れ

「農用地区域」に指定されている農地は、原則として転用できません。 

ただし、例外的に「除外申請」を行うことで、農業振興地域からその土地を外してもらうことが可能です。


この除外申請には、次のようなステップがあります。


  1. 市町村の農業委員会への相談

  2. 農用地区域除外の申請書提出

  3. 担当部署による審査と現地調査

  4. 除外の可否決定(通常は年2回程度の審査会)


ただし、除外申請が通るのは一部の特殊なケースに限られます。 

例えば、「将来的な市街化が確実」「周辺もすでに農地転用されている」など、明確な理由が求められます。

また、除外が認められたとしても、それは「転用許可のスタート地点に立てた」だけです。 

その後の転用許可申請や各種手続きが別途必要になります。


よくある注意点としては以下の通りです。


  • 審査タイミングを逃すと次回まで数ヶ月待たされる

  • 地元農家や農業委員会からの反対があると不利

  • 必要書類や理由書の準備が非常に複雑


除外申請を含めた対応には、専門的な知識と地域事情への理解が不可欠です。 

不安な場合は、早めに行政書士などの専門家に相談しておくと安心です。



▶︎3. 農地転用の許可基準②:一般基準


ree

3.1 転用が認められる条件(資力・信用・計画性)

農地転用の審査では、立地だけでなく申請者自身の計画内容も重要な判断材料となります。 

これが「一般基準」と呼ばれるもので、申請する人の資力や信用、事業計画の具体性などが問われます。


主なチェックポイントは以下の通りです。


  • 申請者に十分な資金力があるか

  • 転用後の土地利用計画が明確で実現可能か

  • 事業者としての実績や信頼性があるか


たとえば、転用後に店舗や駐車場を作る場合でも、その事業が本当に実現できるのか、費用をまかなえるのかが問われます。 

資金計画が曖昧だったり、必要な書類が揃っていないと、不許可になる可能性も高まります。


特に多い失敗例は以下の3つです。


  1. 計画書に数字が書かれていない

  2. 事業主の財務状況が不明瞭

  3. 着工スケジュールが曖昧


これらを防ぐためには、収支計画書や工程表などをあらかじめ用意しておくことが大切です。 

審査する側が「この人ならちゃんとやってくれそう」と感じる情報が求められるんですね。


3.2 周囲への悪影響はNG?水利や災害リスクなどのチェック項目

農地転用のもう一つの重要な審査ポイントが、「周囲への影響がないかどうか」です。 

これは、農地を別の用途に変えたときに、周辺住民や自然環境に悪影響が出ないかを確認するための基準です。


チェックされる主なポイントは以下のとおりです。


  • 水路や排水路をふさいでいないか

  • 隣接地の日照や風通しに影響しないか

  • 災害リスクが高い場所でないか


たとえば、排水がうまくいかず隣の田畑に影響を及ぼすと、近隣トラブルに発展します。 

また、土砂災害警戒区域や浸水想定区域にあたる場合、計画自体が見直されることもあります。


こうしたリスクを事前にチェックすることが、スムーズな許可取得の近道です。

事前に地元の農業委員会や役所で地図やハザード情報を確認し、必要に応じて現地調査を行うことをおすすめします。


3.3 他法令との整合性がカギ!複数の許認可が必要な理由

農地転用には農地法だけでなく、他の法律との整合性も求められます。 

つまり、「農地法上はOKでも、別の法令でNG」というケースが起こりうるのです。


主な関係法令には以下のようなものがあります。


  • 都市計画法(開発許可が必要な場合)

  • 建築基準法(用途地域による建築制限)

  • 河川法・道路法など(接道条件やインフラ整備)


特に多いのが、農地法の許可が下りても、都市計画法上の開発許可が取れずに進められないというパターンです。

複数の法令が絡むため、「誰に何を申請すればいいのか分からない」という状態に陥りやすいのが農地転用の難しさです。


そのためには、事前に以下の準備が必要です。


  • 関係する役所をリストアップする

  • それぞれの法令の確認と相談を並行して進める

  • 全体のスケジュールを把握しておく


ひとつの法令だけに気を取られるのではなく、「全体としてスムーズに許可が下りる状態を整える」ことが重要です。



▶︎4. 農地転用の許可基準をクリアするための手続きの流れ


4.1 市街化区域かどうかで変わる申請ルール

農地転用の手続きでは、まず「市街化区域かどうか」でルールが大きく異なります。 

これは都市計画法に基づく地域の区分で、申請先や必要書類、審査の厳しさに差が出ます。


市街化区域では、基本的に農業委員会への「届出」だけで済むケースが多く、比較的スムーズに進みます。 

一方、市街化調整区域や非線引き区域では「許可」が必要で、審査も厳格です。


以下のように違いを整理しておくとわかりやすいです。

区域

手続き内容

難易度

市街化区域

農業委員会へ届出

比較的簡単

市街化調整区域

都道府県知事の許可(農業委員会経由)

難易度高め

非線引き区域

地域や条件により届出または許可

ケースバイケース


特に注意したいのが、「市街化区域にある=簡単」と思い込むことです。 

実際には、隣接地との関係や他法令の規制があるため、届出だけで済むとは限りません。

まずは自分の農地がどの区域に属しているか、都市計画図などで正確に確認することが大事です。


4.2 面積による違い(4ヘクタール・30アールの区切り)

農地転用の手続きでは、面積によっても手続きの流れが変わってきます。 

よく出てくる基準が「4ヘクタール」と「30アール(0.3ヘクタール)」です。


  • 4ヘクタール以上:国の事前協議が必要(農林水産大臣の関与)

  • 30アール以上:「農地転用計画書」が必要になるケースが多い


このため、広い面積を転用したい場合は、事前の準備に時間がかかります。 

とくに国への協議が入る4ha超の案件では、半年〜1年単位のスケジュールを覚悟する必要があります。

面積が広くなるほど、関係機関の数も増え、確認事項も複雑化します。


「あと少し面積を抑えれば協議が不要だった…」という失敗もよくあります。 

申請前には、計画面積をよく見直し、必要であれば分筆や段階的申請も視野に入れましょう。


4.3 農地転用の手続きでよくある落とし穴と対処法

農地転用の手続きは、専門用語や提出物が多く、慣れない人には非常にハードルが高く感じられます。 


中でも、次のような「落とし穴」に注意が必要です。


よくあるつまずきポイント

  1. 境界があいまいなまま申請してしまう

      → 境界杭の設置や測量図の提出が求められることがあります。


  2. 申請書類の不備や提出期限の誤認 

     → 申請は月1〜2回の締切がある場合が多く、遅れると大幅な遅延に。


  3. 関係者の同意を得ていなかった 

     → 地主や隣接地の所有者とのトラブルが発生し、計画が中断することも。


こうしたミスを防ぐには、事前に全体の流れを把握し、スケジュールを立てておくことがカギです。

また、地域によってルールが異なることもあるため、個別に自治体へ確認することも忘れずに。 


「これくらい大丈夫だろう」という感覚で進めると、後からやり直しになるケースが少なくありません。

不安な場合は、農業委員会だけでなく、行政書士など専門家に相談することで、手続きがグッとスムーズになります。



▶︎5. 農地転用の許可基準をスムーズに満たすためのコツ


5.1 書類準備で失敗しないために気をつけたいこと

農地転用申請では、提出書類の正確さと完成度が大きく結果を左右します。 

審査担当者は書類をもとに可否を判断するため、不備があるとそれだけで申請が止まってしまうことも。


失敗しやすい書類関連のポイントは次のとおりです。


  • 土地の境界が不明確:測量図や境界杭が必要になる場合が多い

  • 申請者の情報が不一致:登記簿・印鑑証明と一致しているか要チェック

  • 添付資料が不足している:位置図、公図、土地利用計画図、写真など


特に、境界に関するトラブルは申請が長引く原因のひとつです 

現地調査の段階で「隣地との境がはっきりしない」と判断されると、測量のやり直しになることも。


また、自治体によって求められる書類の種類やフォーマットが異なることもあります。 

テンプレートを使い回すのではなく、地域の役所に確認するのが確実です。

事前にチェックリストを作成し、ひとつずつ丁寧に確認しておくと安心です。


5.2 地主や近隣住民との合意形成の進め方

農地転用を進めるうえで、「手続きの前に人間関係を整える」ことが意外と大事です

とくに以下のような場面で、合意形成の有無が許可の成否を左右します。


  • 地権者が複数いる土地の場合

  • 隣接地が農地・住宅地など異なる用途の場合

  • 排水や出入りに関して他人の土地を通る計画がある場合


これらのケースでは、関係者全員の同意書や印鑑が必要になることがあります。 

一人でも反対者がいれば、手続きが進まなくなる可能性もあるため、事前にしっかりと話し合っておく必要があります。

「話を通していなかった」ことが原因でトラブルになるケースは少なくありません。


円滑に進めるためのコツは以下の通りです。


  • 初期段階で関係者を洗い出す

  • 文書だけでなく、口頭で丁寧に説明する

  • 必要に応じて第三者(専門家や行政)を交えて話す


とくに高齢の地権者や農家の方とのやりとりでは、専門用語を避けて説明することも重要です。


5.3 専門家に相談するメリットとは?サポート体制の活用法

農地転用の手続きは、法令・書類・地域調整といった複雑な作業が重なります。 

こうした手続きをスムーズに進めるには、専門家のサポートを活用するのがとても効果的です。


行政書士などの専門家に依頼することで、以下のようなメリットがあります。


  • 自治体とのやりとりを代行してくれる

  • 書類のチェックや作成をプロの視点で進められる

  • 申請スケジュールの管理を任せられる


特に、はじめて農地転用を行う場合、自分で調べながら進めると時間も手間もかかります。 

書類の不備で再提出になると、1〜2ヶ月単位で予定が遅れることもあります。

専門家を味方につけることで、申請の精度が上がり、許可取得までの期間も短縮できるんです。


また、地域ごとの慣習や担当者の対応傾向など、ネットでは得られない“実務の知恵”を持っているのも大きな強みです。

不安な点があるなら、まずは相談だけでもしてみると、全体の流れが見えて安心感につながります。



▶︎6. まとめ:農地転用の許可基準を乗り越えるには?

6.1 気をつけたいポイントをおさらい

農地転用の許可を得るには、思った以上に多くの確認と準備が必要です。

ここまでの記事でお伝えした内容を、あらためてポイントごとに整理してみましょう。


  • 立地基準の確認:自分の農地が「農用地区域」「第1〜3種農地」のどれに該当するかをチェック

  • 一般基準の理解:計画の確実性や周辺環境への配慮が重要

  • 他法令との整合性:都市計画法や建築基準法など、関係法令の確認が必須

  • 書類とスケジュールの管理:不備がないように準備し、提出期限に注意

  • 関係者との合意形成:地権者や近隣住民との信頼関係も成功のカギ


「なんとなく」では進められないのが農地転用の手続きです。 

行政とのやりとり、書類の精度、関係法令とのバランスなど、総合的な対応が求められます。

不安なまま進めて後からやり直しになってしまう前に、信頼できるサポート体制を整えておくことが成功への近道です。


6.2 イット建築研究所合同会社なら、相談から申請まで安心です

農地転用の許可申請に関して、「どこから手をつけていいか分からない」という声はとても多いです。 

そんな時に頼りになるのが、イット建築研究所合同会社です。


イット建築研究所合同会社では、農地転用や開発許可をはじめ、各種行政手続きに特化した代行サポートを提供しています。 

建築確認申請などにも対応しており、複数の手続きを一括で任せられるのが大きな強みです。


  • 最短即日対応でスピーディな申請支援が可能

  • 必要な分だけ依頼できる柔軟な体制

  • 地元密着で法令や土地特性にも精通


さらに、丁寧なヒアリングからスタートし、資料作成・申請・質疑対応まで、ワンストップでサポートしてくれるので、初めての方でも安心です。

「最初の相談から最後の許可取得まで任せたい」そんな人にぴったりの専門パートナーです。

農地転用の手続きでお困りの方は、まずは無料相談から始めてみてください。



▶︎農地転用の手続きならイット建築研究所合同会社へお任せください

農地転用許可申請をはじめ、開発許可や建築確認申請までワンストップで対応可能。

地域の実情や法令に詳しい専門スタッフが、最短即日でスムーズにサポートします。

まずはお気軽にご相談ください。



 
 
 
bottom of page